「アスペル・カノジョ」あらすじ/内容
端的に説明すると地雷女/メンヘラ彼女とのリアルな生活を描いたマンガ。
過去にイジメや虐待された経験を持つ女性「斎藤さん」と、売れない同人漫画家の男性「横井さん」との恋愛話。
トラウマ、リスカ、過呼吸、暴力、突発的破壊衝動etc…
アスペルガー症候群(発達障害)の彼女を救うため、様々な方法で対応を試みる主人公の横井さん。
横井さんがアスペルガー症候群のヒロイン役、斎藤さんへ話しかける際、負担を掛けないように最善の言葉を選んで伝えている様子はめちゃくちゃ勉強になります。
横井さんが吐く言葉一つ一つがとても深く、一般の方なら通じるであろう言葉の並びでもアスペルガー症候群の斎藤さんには伝わらない事があるので、例え話で伝えるシーンが多いのですが、その例え話がとても秀逸で感嘆させられます。
アスペル・カノジョの見どころ
横井さんの例え話が秀逸
先ほども書きましたが、一般の方なら通じるであろう言葉の並びでもアスペルガー症候群の斎藤さんには伝わらない事が多くある。
それを伝わるように主人公の横井さんが例え話で伝えるシーンが多いのですが、その例え話がとても上手で、読んでいる側としてもめちゃくちゃすんなり頭に入ってきます。
個人的に良かったシーンを抜粋します。
娘(斎藤さん)が理解できないと相談する斎藤さん母に対して横井さんが伝えた事↓
横井さん「2+3はいくつになりますか?」
斎藤さん母「5ですか?」
横井さん「じゃぁシックス+フォーは?」
斎藤さん母「え?6+4?10?」
横井さん「どうしてわざわざ6+4に直したんですか?」
斎藤さん母「…」
横井さん「それが斎藤さんの住む世界です。」
アスペル・カノジョ8巻より抜粋
知らない言葉を聞いた時は皆同じ反応だが、学習するので次からは翻訳が要らなくなる。
しかし、発達障害の彼女にはずっと翻訳が必要。
ただ全てが全て翻訳が必要なわけじゃないから、周囲も混乱し、障害ではなく自分勝手で配慮が足りない人間だと思ってしまうと伝えています。
なるほどなー…と考えさせられたワンシーンでした。
アスペルガー症候群に対する理解が深い。そして読んでる側も理解が深まる。
この漫画はあらゆるシーンを描くことでアスペルガー症候群(発達障害)という病がどういうものか?というのを伝えてくれています。
アスペルガー症候群と言っても人によって様々な症状があるので、一概にまとめて伝えるのは無理があるのですが、ヒロイン役である斎藤さんの他にもう一人軽度のアスペルガー症候群を患っている職場の女性、清水さんが登場します。
あらゆる角度からアスペルガー症候群に対して説明してくれているのでとても勉強になります。
清水さんが言った言葉、
「発達障害の人に大体共通しているのは人の反応を想定できないって事。何を言えば相手がどう反応するか予想できないから突然失礼な事を言ったり、話しの流れと関係の無いことを言ったりする。」
「会う人会う人から訳も分からず嫌われてキレられて無視されるようになって、人と接するのが怖くて怖くて仕方なくなる。」
アスペル・カノジョ 2巻より抜粋
は私の中でもより濃く印象に残ったワンシーンでした。
ところどころに織り交ぜられた笑いどころのレベルが高い
単純に私のツボなだけなのかもしれませんが、主人公の横井さんとヒロイン役の斎藤さんのやり取りにところどころ笑えるシーンが織り交ぜられています。
私の場合、クスッどころじゃなくちょっと声が出るぐらい笑えました。笑
一部だけ抜粋して紹介してもそこまでの流れが頭に入っていないと面白いと感じることができないと思うので、是非一度読んでみてください。
斎藤さんの不器用でも一生懸命に生きようとしている様子に泣ける
ヒロイン役である斎藤さんも決して人から嫌われたくて自分勝手に振る舞ってるわけじゃない。
自分勝手な振る舞いや言動を自分勝手だと認識できないから、ついつい周りに冷たく当たってしまったり、傷つけてしまったりしてしまう。
周りから強く非難され、孤立していく。
親からも「我慢が足りない」と言われ、自分が悪いんだと思いながらもどうすればいいか答えが見つからず、結果自傷行為などに走ってしまう。
どうすれば良いのかわからない。
自分だって周りの人と仲良くしたい。
ヒロイン役である斎藤さんのパソコンの検索履歴のシーンになったとき、涙を流さずにはいられませんでした。
そのシーンは第8巻、11~15ページに描かれているのですが、何度見ても泣けます。
- 楽しいことを見付ける10の方法
- いじめを受けたと思ったらすぐ相談
- 生きる理由がわからない
- 友達の作り方
- 苦しまずに死ぬ方法
- 富士の樹海探索
etc…
主人公の横井さんが耐え切れず、手で顔を覆うシーンが本当に悲しくて涙無しでは見れませんでした。
私の感想
このアスペル・カノジョと言う漫画、5回ぐらい読み直してますけど、未だに数回泣かされます(´;ω;`)。
私自身は幸いにも小学生の頃からイジメられるといった経験はなく、比較的そつなく今まで生きてこれました。
(若干イジメられそうになったこともありましたが、やり返してました。そんなに大人しい性格でも無かったので^^;)
大人になり、社会人として働き、一児のパパとなった今、少し周りと違う方と出会った際には初めから嫌な顔をしたりあからさまに拒否したりするのではなく、一度立ち止まって相手の事を考えるクセをつけなければいけないなと考えさせられる漫画でした。
失礼な人や横柄な人、自分勝手な人と無理に仲良くなる必要は無いかと思いますが、皆それぞれ起こす行動には何かしらの理由があるもの。
頭ごなしに拒否、相手を否定してしまうのは絶対に間違いだと思うので、一度は考えるようにしていこうと思いました。
その他細かい心理的行動などについても論理的に説明してくれるのでとても勉強にもなる漫画だと思います。
この漫画を書いている人っていったい何者なんだろうと思いました。
心理学者?
そう思わせるほどに一つ一つの心理を丁寧に汲み取って描写されている漫画です。
wikiで調べてみても
原作:森田蓮次
漫画:萩本 創八
としかでてこないんですよね。
こんな素敵な漫画を描けるぐらいの方々なので色々知りたかったのですが( ・ิω・ิ)。
2020年11月11日にアスペル・カノジョ9巻が発売される予定なのでとても楽しみです^^。
かなりおススメの漫画ですので是非一度読んでみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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